リフォームとリノベーションの違い

どちらもストック型社会の思想

さて、ここまでは「リフォームとリノベーションの違い」ということでお話してきたわけですが、「ストック型社会」という側面から見ると、両者は共通しています。「ストック型社会」というのは、価値あるものをつくったら、それを長く大切に使う社会を指しています。つまり、地球にやさしい、持続可能な社会ということです。

 

普段の生活に目を巡らせてみると、新品ではなくてもいいものがたくさんあるのです。自動車、家具、洋服、雑貨も、ユーズド、リサイクルでも問題ないのです。このように新品じゃなくてもいいものはいいという、いわゆる循環型消費スタイルも一方では定着しつつあります。

 

住宅にも当てはまるということです。むしろ大きな住宅だからこそこれからは循環型がふさわしいのかもしれません。各人の価値観で「いい」と思える家をしっかり探し、それに手を入れながら大切に使い、次の世代へも引き継いでいくという、ストック型社会における住宅選びです。

 

建そもそも欧米諸国に比べれば、日本の住宅はとても短命となっています。こうした違いは単純に物の耐久性の問題というよりも、新築を妙に偏重する日本の住宅事情が原因かもしれません。まだまだ十分に使用できる住宅を、短い年月でわざわざ使い捨てにするのは、経済的にももちろんですが、環境的にも無駄なことです。

 

ヨーロッパでは、前世代からの住宅ストックを引き継ぐのは当たり前で、それで住宅にかかるコストも抑えることができます。ヨーロッパ人は日本人より少ない収入でも、バカンスや文化への投資は惜しまず、むしろゆとりや豊かさを享受しているのは、こうしたストック型社会で生きているからかもしれません。そう考えると、リフォームとリノベーションは、より意義のあることとしてみることができるはずです。

 


page top